【刑法改正】懲役・禁錮が「拘禁刑」に、なぜ?

拘禁刑の目的
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政府は8日、刑罰の「懲役」と「禁錮」を廃止することを決定。
これらを一本化し、新たに「拘禁刑」を創設する刑法などの改正案を閣議決定しました。
刑の種類を変更するのは明治の制定以来初めてとのこと。

新設されることになった「拘禁刑」には、受刑者の更生や円滑な社会復帰を目指す狙いがあると言われています。

なぜ「拘禁刑」が必要となったのか?
その理由について迫ってみたいと思います

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「懲役」と「禁錮」の違いとは

現行刑法が定めている刑罰には、

  • 死刑
  • 懲役
  • 禁錮
  • 罰金など

が規定されています。

この中では「懲役」と「禁錮」をニュースなどでよく聞くことが多いですね。
この2つには大きな違いがあるのですが、意外と知られていません。
そもそも同じような刑事罰という印象を持っている人も多いのではないでしょうか?

懲役と禁錮で大きく違う点は「刑務作業」の有無です。

  • 懲役
    →刑務作業が義務
  • 禁錮
    →刑務作業が義務ではない

刑務作業の存在はなんとなく聞いたことがありますが、その実態はよくわかりません。

何のために「刑務作業」は存在しているのか?
実際にどんな作業が行われているのか?

・刑務作業とは

受刑者が行う刑務作業の目的は、

  • 所内で規則正しい生活を送らせることで「心身の健康」を維持する
  • 勤労意欲を養って、共同生活での役割や責任を自覚させる
  • 「職業的知識・技能」を身につけることで、出所後の円滑な社会復帰を促進する

これらが主な目的です。

出所後を見据えて、スムーズに社会復帰できるように「刑務作業」を科されているんですね。

刑務作業は4種類。

  1. 生産作業
    物品を製作する作業及び労務を提供する作業
  2. 社会貢献作業
    社会貢献を実感する労務を提供する作業
    (例)通学路等の除雪作業、植生保全のための除草作業など
  3. 職業訓練
    出所後の就職が有利になるよう資格や技能を会得させる事が目的
    約50職種を実施
    (例)溶接科、建設機械科、理容科、介護福祉科
  4. 自営作業
    受刑者等が矯正施設で生活するにあたって必要な作業
    (例)炊事、洗濯、建物の簡単な修繕、畳の張替えなど

これらの業種から、各人の適性等に応じた職種が指定されます。

受刑者の作業時間は、1日につき8時間以内の時間での就業。
始業が9時だったら17時に終了する感じですね。

刑務作業には「作業報奨金」が支給されます。
1ヶ月当たりの平均支給計算額は1人「約4320円」です。(令和2年度)

「刑務作業=刑務所内での労働」で、受刑者の社会復帰には欠かせません。

なぜ懲役と禁錮を一本化するのか?

刑務作業の義務があるかによって「懲役」と「禁錮」は区別されます。
禁錮の受刑者の場合、刑務作業への参加は任意でした。

実際のところ、刑務作業をしているのは「懲役刑の受刑者」だけなんでしょうか?

法務省が毎年公表している『犯罪白書』によると、

  • 2020年の入所受刑者
    懲役刑は99.7%(1万6562人)
    禁錮刑は0.3%(53人)
  • 21年3月末時点の禁錮受刑者
    約8割が希望して刑務作業に参加

刑務作業は「懲役の受刑者」と「禁錮の受刑者の大半」が行っていました。

ようするに「懲役と禁固の区別」が無意味になっていることが判明。

有識者たちから「これらの刑罰を区別する合理性はない」や「刑務作業の義務化は更生プログラムの普及を妨げている」といった意見が出ており、今回の「拘禁刑新設」の追い風となりました。

・拘禁刑の狙い

「拘禁刑」では、刑務作業の義務に縛られなくなります。

柔軟な処遇が可能となって、受刑者の特性に応じた対応に取り組め
そのため再犯防止プログラムなどの改善プログラムの普及を期待する声があります。

現状、改善プログラムなどの指導は一部に留まっています。
懲役の場合、薬物依存者や性犯罪者といった受刑者たち。

受刑者の改善プログラムが広く普及していないのは、刑務作業の義務があるため。
1日8時間まで作業を行う受刑者も多く、プログラム参加の時間を割けないことが大きな要因。

拘禁刑とすることで、「刑務作業」か「改善プログラム」かという選択肢が生まれる。
受刑者ごとに適切な社会復帰の手段を選べるため、再犯を防ぐ効果が期待されます。

  • 刑務作業への従事
  • 再犯防止プログラムへの参加
  • 高齢受刑者への福祉支援
  • 若年受刑者の学力向上

このように、拘禁刑とすることで受刑者に寄り添った方法を選べるようになります。
凶悪犯罪を行った受刑者以外であれば、社会復帰に向けてどんどん更生プログラムを利用してもらいたいところ。

まとめ

懲役と禁錮を廃止し「拘禁刑」を新設する狙いは、

  • 義務である「刑務作業」に縛られず柔軟な処遇が可能となる
  • 改善更生のために必要な作業や指導ができる
  • 受刑者の再犯防止の効果を高める

このような目的があります。

「拘禁刑」により、受刑者に合わせた再犯防止の指導に力を入れられるので、犯罪としっかり縁を切る人が増えるのを期待したいですね。

参考文献

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